昔は、といっても、若い頃は、といったほうがいいのか、
お葬式の幕や、提灯がさがっている家の前を通るのは嫌だった。
今だって、好きなわけではないが、いまは何とも思わない。
いや、何も思わないわけではない、年齢を重ねたせいか、命に終わりがあることを当然と思えるようになっただけである。生まれた以上、人も動物も必ず死ぬのだから。
「おしゅうしょうさま・・」などと、心の中でつぶやきながら通り過ぎる。
でも、いつも葬式の家の亡くなった人は、私の中では、老人とばかり思ってしまう。
「いつまで生きたんだろう?・・」
などと、心の中で合掌しながら、亡くなった人の年齢を想像する。
そして、その人の老人姿を想う・・
また、会ったことも見たこともないその人の人生まで想像する。
人間とは、想像する動物なのだ。
しかし近所の場合、あとで、噂話に、
亡くなったのが小学生のお子さんだったことを知らされたときは、
本当に合掌してしまった。
人生とは悲しい・・・・
人生とはむなしい・・・
○子ちゃん、こころ安らかにね・・・
(などと、見たこともないのに、男か女かも分からないのに、つぶやいている自分がいる)
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