幸福度ランキング (日本は本当に美しい国か?・・)

幸福度ランキングというものがあります。その中でも最近注目されているのに、ブータンが取り入れている、GNHランキングというものがあります。
先日、ブータンの国王夫妻が来日したおりにも、この幸福度というのが話題になりました。

GNHとはGross National Happinessの略で国民総幸福量という意味です。
ヒマラヤの王国ブータンが独自の国家建設のスローガンとして取り入れた開発理念でも有名です。発祥地もブータンです。

GNHの特徴としては、国内総生産と呼ばれるGNP(Gross National Product)や、GDP(Gross Domestic Product)のように経済発展の数値で示すのでなく、経済面よりも精神面やこころの豊かさを「値」としていて、「国民全体の幸福度」を示す“尺度”を用います。

尺度の構成としては、1.心理的幸福、2.健康、3.教育、4.文化、5.環境、6.コミュニティー、7.良い統治、8.生活水準、9.自分の時間の使い方の9つの要素から構成され、アンケート項目は約100問だそうです。

調査は2年ごとに行っていて、ちなみに、ちょっと古いですが、2006年度のランキング20位は以下のようになっています。(最近は2010年度に行われたようですが、ランキング資料は見つかりませんでした。)

1位・デンマーク
2位・スイス
3位・オーストリア
4位・アイスランド
5位・バハマ
6位・フィンランド
7位・スウェーデン
8位・ブータン
9位・ブルネイ・ダルサラーム(通称ブルネイ)
10位・カナダ
11位・アイルランド
12位・ルクセンブルク
13位・コスタリカ
14位・マルタ
15位・オランダ
16位・アンティグアバーブーダ
17位・マレーシア
18位・ニュージーランド
19位・ノルウェー
20位・セイシェル

ブータンは8位にランキングされています。
残念ながら、178カ国中で、日本は125位です。90位の中国よりも下です。アメリカは35位。
世界銀行が発表する国民総所得(GNI)では、ブータンは日本の約22分の1であり、所得と幸福度の関係は、比例していないことが分かります。
また参考資料として、GDP(国内総生産)では、ブータンは166位です。(アメリカ1位、中国2位、日本は3位、ドイツ4位)

ちなみに、2010年度のブータンの調査では、以下の結果が出たそうです。
Headcount=40.9%(国民の4割がおおかた幸福だ)。Intensity=43.4%(平均4割強の項目で不満だ)。そしてGNH Index=0.743(0~1までで、1に近いほど幸福度が高い)だった。

また、統計的な結果として、以下のようなおもしろい結果が出ています。

・男性のほうが女性より幸せを感じている。
・都市部の幸福度は50%、周辺部は37%。
・初等教育を受けた人たちは、無教育の人たちより幸福を感じているが、高等教育は影響しない。
・未婚者と若者は幸福度が最も高い。
・最も幸福な人々と、最も幸福を感じない人々は、同じ都市に住んでいる。

おもしろい結果内容ですね。

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ここからは、「幸福度」についての私の私観です。

日本にいると、客観的な視点が乏しく、幸福度に関しても、日本がこんなに低いことに驚き、「こんな平和で安全な日本が、このランキングはおかしいよ!」などと思ってしまいます。
しかし、流れるニュースを想いおこしてください。この平和で安全な日本が、13年連続で3万人を超える自殺者数を出している国だということを。
この自殺者数は、人口比でアメリカの4倍の数値です。
この数値は、先進国中1位です。異常な国ということになりますよね。

メンタルヘルスでうつ病と診断される数も、古い資料で申し訳ありませんが、2005年度は92万5,000人へと、この10年間で倍増しています。しかも、これは病院を訪れた患者数だけで、潜在的にはこの数倍の人がうつ状態にあるといわれています。

【参考資料】
明治学院大学国際学部教授の大木昌さんは、次のように指摘しています。

「現代の日本には、現在と将来に対する悲観的な見通しから、暗い抑うつ気分が着実に蔓延していると言えるでしょう」

また、「なぜなのか(中略)いちばんはっきりしているのは、小泉政権の発足以降、明らかに自殺が増えている。統計的には倒産の件数と比例しています」と述べています。

14ヶ国の子どもと若者を対象に行なった幸福に関する調査でも、「今の状況は幸せですか?」の項目で、日本は飛び抜けた数字で最下位だそうです。

また、おもしろい内容としては、16歳から34歳の若者のうち、「両親より自分の所得が多くなる」と考えているのは、インド79%、中国78%に対して、日本ではわずか17%、ドイツで27%、フランスで32%だそうです。

「新自由主義、市場原理主義という考え方で、自由競争に勝てる人はいいでしょう。しかし、自由競争の裏側は自己責任です。これがいちばん恐ろしい。」

また、
「経済競争だけならともかく、今は『老後の生活とか健康もあなたらの責任ですよ』と自己責任原則を強力に出している。あらゆる側面で国家の義務を放棄して個人に押し付けているのが今の状況です。そう考えると、これから本当に自分の責任だけで生活をしていけるだろうか、という不安を抱かざるをえない」

昔、アメリカのロバート・ケネディが、GNP(国民総生産)と、それによって測られる「豊かさ」をこんなふうに痛烈に批判したそうです。

 「子どもたちの健康、教育の質の高さ、遊びの楽しさはGNPに含まれない。詩の美しさも、市民の知恵も、勇気も、誠実さも、慈悲深さも…」

そして、
「要するにこういうことだ。国の富を測るはずのGNPからは、私たちの生きがいのすべてがすっぽり抜け落ちている」と。

経済至上主義の国アメリカの、しかも大統領候補が、昔とはいえ、そういう言葉を吐いたということに驚かされる私ですが、私も含め、日本の国の幸福度について、もっと日本国民全体が真剣に考えてみる時期に来ているように思います。
特に政治家と、行政を預かるすべての人たちも・・。
ブータンのように国策として、とまではいいませんが、若者の顔から希望と笑顔が消えないような国づくりをお願いします。

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