道を覚えたけりゃ、一人で歩け。・・

林道を抜けて、駐車スペースに車を停めた私に、登山姿で近づいてくる女性が一人おりました。女性といっても年齢は60を越したあたりでしょうか。
身なりは最近流行の「山ガール」風ですが、無理していえば、「山オバー」でしょうか。

私が車のドアを開けるのを待って、声をかけてきたのです。

「登山道の入り口がわからなくて、もう一時間も歩き回っているんだけど」
私は、「○○山ですよね?」と確認する。

「そう、仲間はすでにもう早朝から登っているのよ。10人位のグループでね。私は皆の時間に間に合わなくて、あとで追っかけるから、先に登ってていいわよ。って言ったのよ。○○で合流することになってたんだけどね。」

「ええ?、もうその人たちは登ってるんですか?」
「そうなのよ。私は3年ほど前に一度登っているから、追いかけるつもりでいたのよ。でも、登山口がわからなくて、スキー場のゲレンデを一番上まで歩いてもわからなくて、それで戻ってきたのよ。もう疲れちゃったから、今日はもうあきらめようと思うの。迷ったら大変でしょう。あなた、分かる?登山口・・」

「いや、私も、初めての山なもんですから・・、何も助言できなくて、すみません」
と一応謝る。

女性は、しばらく頂上の方向を眺めていたが、
「前に登ったときは、スキー場のゲレンデは、きれいに草が刈られていたのよ。だから入り口もすぐにわかったんだけどね。・・今は少し藪の中を歩かなけりゃならないのかもね・・」

私は、その話を聞いて、かなり心細くなりました。
女性は、しばらくすると、私から離れていきました。

その後、私も予定通りに、地図を片手に一人登山を開始したのでした。
そして、女性の話が信じられないくらい簡単に登山道入り口が見つかり、その後は、なんのトラブルも無く、無事に山頂にたどりつきました。

登りながら、あの道に迷った女性のことを考えたのですが、
以前に登っているにもかかわらず、どうして登山道がわからないのだろう?・・と。

そこで思うのですが、これはグループ登山の弊害なのではと。
私も、昔、グループ登山をしていた時期があったのですが、グループは、どうしても先導者についていきます。
ただ付いて歩くだけで、目的地にたどり着くのです。
だから、あとに続く者は、そんなに詳しく歩いた道を頭にたたきこんだり、周囲の目印を覚えておくという所作が必要ないのです。
それは、道を覚えていないということにもつながるのです。

「ああ、それだ・・」
などと、私は、あの「山オバー」に結論をくだしたのでした。

なんていいながら、私は一人登山を全て良いとはいいません。
一人登山の最大の難点は、事故ったり、トラブルが発生したときでしょうか。
それを頭に入れた上でなら、山の一人歩きは、遠慮気兼ねがいらない分、けっこう楽しいです。
(でも、女性はやはり、グループ登山がいいかもですね。)

今回、あの「山オバー」から学んだことがあります。
迷ったから、引き返してきた。ということです。
引き返す勇気が、山の鉄則ですから。

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