断食と私・・

ある人気タレントさんが、最近6日間の断食をされたというニュースを眼にして、私の断食体験がいきなり蘇ってきたのでした。

それにしても、「断食」なんて、現代社会においてはそんなに眼にすることもないし、メジャーな単語じゃないので、このニュースを聞いたときの私は、「断食って、今そんなに人気あるの?」という思いを持ったものです。

『プチ断食』というのが、最近巷で静かなブームであるというようなことは、4、5年前に、何かのテレビ特集や雑誌に載ってたのを眼にしたことがありましたので、断食の効用を知っている私は、「なるほどね」などと思って眺めていました。

しかし、プチ断食と、普通の本断食というのは、異なります。

そのタレントさんは、6日間ということなので、これはプチ断食ではありません。
プチ断食とは、雑誌などによれば、2泊3日のコースを組んでおりました。
この場合、2泊3日といえば、完全断食期間は24時間くらいです。
ホテルや、ペンションなどを利用して、美容を目的とした「お気軽断食プラン」という初級体験コースらしいのです。

対して、本断食とは、これは私の考えになりますが、完全断食が3日以上といえるかもしれません。だから72時間以上の完全断食ということでしょうか。
こちらのプランですと、美容以外に、健康回復、体質改善、病気治癒、精神力強化、修行などがその目的となります。

断食とは、いきなり食を断つということではありません。
そんなことをしたら、消化器系がびっくりして、よい結果を得られません。
だからその準備として、前日は、朝は茶碗半分程度。昼はおかゆ少々。夜は重湯。という具合に、徐々に食事を減らしてゆきます。
そして午前0時から完全断食に入るのです。
この後、口にできるものは、水と塩のみとなります。

断食明けは、準備期間の逆で、重湯からはじめて、おかゆ、茶碗半椀程度と戻してゆきます。
注意点は、断食明けの方が大変で、完全断食の期間により、おかゆの期間を長めにとります。量も徐々に増やしていきます。

人気タレントさんの場合、6日間ということなので、完全断食期間は、4日間くらいだと考えられます。
体重は5キロほど減少したと書いてありました。
それと、場所は断食道場で行ったそうです。

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【ここからは、私の体験談です】

一回目の断食は、18歳の冬、7日間を行いました。
場所は、とある断食道場でした。

二回目は20歳頃に、別の断食道場で14日間の断食を行いました。

それ以前に、自宅で3日間の断食をやったことがありますが、やはり他の人が普通に食べている横で断食を行うということは、かなり大変なことです。

あと、体重の変化ですが、完全断食4日目くらいまでは1キロ単位で減っていきます。
その後はあまり減りません。一日300~200gくらいになります。
7日目くらいになると、体重はほとんど減らなくなります。

【断食の感想】

断食は、簡単に気軽にはじめられるというものではありません。
それには、やはり準備が必要です。(心も体も日程も)
しかし、断食のすごさは、やってみないと分からないという奥深いモノがあります。
それもそのはずで、生れてからずっと食事を取ってきているわけですから、それを中断するということは、体の各器官や、細胞を裏切ることになるわけです。
それが様々な症状(?)いや、効果をうむのでしょうか。

完全断食に入ると、2~3日目あたりに最初の違和感というか、兆候が現れます。
各細胞が栄養を求めて騒ぎ立てるのが実感として感じられます。
2日目くらいまでは一応普通に立って歩けます。
3日目になると、身体がふらつきます。
運動や急激な動作は立ちくらみがするので、危険ですのでやらないようにします。
車や自転車の運転も危ないのでやめましょう。
とにかく、神経や、精神が研ぎ澄まされてくる・・といった不思議な感じが実感できます。

5日目くらいになると、体重が落ちたことに驚き、また、体調も半病人状態になり、動くことがかなり大変になります。
精神的にも辛さを感じます。
個人差はあるでしょうが、4日~6日目頃が一番辛いように思います。
もしかしたら、このまま命を落とすんじゃないか? などの不安や恐怖心も出てきます。
また、考えることといえば、食べることや、料理や食物のことばかりです。
テレビを観ても、なんと料理番組や食物CMが多いかに気づかされます。
TVドラマも、食事風景の多さにおどろかされます。
生唾をゴックンしながら、ただ横たわっているわけです。(何もすることがないので)
この世の中や社会は、食うために出来てるんじゃないか・・などと思ってしまいます。

7日目を過ぎると、空腹感はなくなります。
体重も減りません。
体は相変わらず大変ですが、歩く程度はできるので、気力のある方は、少しでも散歩するようにします。
精神的にも少し安定してきます。
寝たまま状態は一番良くありません。
病人ではないのですから、無理をしてでも少し動き、歩くようにします。

ただ、隠れ病気が出てくることもあります。
また、アル中の方は、二重の苦痛があるようで、実際、私のいた断食道場で、4日目くらいの男性が、缶ビールを隠れて飲んだようで、突然倒れ、救急車で運ばれたこともありました。
道場関係者の話によれば、実際何人か亡くなっているそうです。
そんなことから、アル中をやめる為の断食は、お勧めできないとも言っています。
アル中をしっかり治してから、断食をするようにしましょう。
(タバコ中毒者の場合に関してはよく分かりません。私は吸いませんので。)

私が断食を体験して感じたことは、ノイローゼなどの精神的な病は、断食することでかなり改善されるかもしれないということでした。
悩みをもっていても、生きるためには、食べ物や、食べることがいかに大事か気づかされるからです。そこから、これまで悩んでいたことがウソのように吹き飛んでしまうからです。
そういう意味では、食物のありがたさがしみじみと感じられます。
また、断食によって自己革新も行われますので(細胞が入れ替わった感じ)、断食は身体的にも精神的にもよい療法だと思います。
すべてが新鮮な感覚で捉えられます。
ある意味人生観が変わります。

【断食の注意点】

断食の長さは、その目的により異なってきますが、長ければいいというものでもありません。通常の体験であれば、完全断食3日で準備1日と終了後2日を入れて5泊6日コースをお勧めします。
プチ断食は完全断食1日ですので、これならば家でもできるコースです。
でも、1日の断食が、果たして断食といえるのかは疑問です。
断食という一種独特の違和感、異空間を体感してみないことには、私は断食の効果もないように感じております。

そして、これはとても重要なことですが、終わった後の大食いには絶対注意です。
5日間の断食でも、以後は一ヶ月間くらいは小食で、徐々に増やしていくことが重要です。

とにかく、断食後は好き嫌いはなくなり、何を食べてもおいしいことから、食べ過ぎてしまいます。そして失敗者の多くは、胃腸病を患ってしまうのです。
これでは、何のために断食したのか分からなくなってしまいます。

アルコールも注意です。
私は断食前はビール5本は行ける口でしたが、断食後は、コップ一杯のビールも飲めなくなり、ビールの水割りからはじめました。
それでもぐらぐらと酔いが廻って歩けなかったことを覚えております。
それくらい、断食とは大きなすごい力を秘めたものなのです。

追記【断食道場について】

最後に、断食道場について書いてみます。
私が行った頃は、インターネットもなかった時代でしたので、どのようにして「断食道場」を探し当てたのかは、記憶がかなりあいまいになっています。
たぶん雑誌だったかもしれません。

現在は、ネットで「断食道場」と入力して検索すれば、各地域ごとにズラズラと出てきます。
中には、「断食合宿」と銘打ったものもズラズラと出てきます。
それらの中から、自分の目的に合った、理想的な道場(宿泊所)を探せばよろしいかと思います。

ただ、注意することは、自分の目的をしっかり持ってから参加してください。
様々な人が参加してきますので、場合によっては、とある団体への勧誘などもないとはいえません。
とにかく、自分を見失わなければ大丈夫です。
また、断食道場の主催者や、団体や、経営者の情報なども吟味してから選択するのがいいかもしれません。
選択に迷ったら、その断食道場名や主催者名などで検索すれば、さまざまな情報が出てくるはずです。
良い時代になりましたね。

また、断食道場のよいところは、各種健康法講座や正しい食事など、様々な講座を用意していて、単調になりがちな道場生活を、めりはりのあるものにしてくれることです。
「温冷浴」や、「--式健康法」や、「玄米食」など。
ただこれらも、参加不参加は自由なはずですし、知識として学んでおけばいいと思います。
何といっても、目的は断食敢行なのですから。

それと、私の場合は相部屋(3人)でしたが、むしろ心細い断食ですので、相部屋でお互い励ましあえる環境のほうがいいかもしれません。(もちろん男女別部屋です。)
私は、500キロ以上も離れた場所へ、一人で参加したのでした。
(当時、断食道場の数は、国内でも数箇所程度しかなかったため。)

いづれにせよ、あとは自分との闘いです。
私にとって、断食経験は、素晴らしい体験でした。

この文献が、何かの参考になれば嬉しく思います。

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