「一人ぼっちの旅行」追記:映画「おくりびと」ロケ地(上山市)

映画「おくりびと」は、2009年2月第81回アカデミー賞の外国語映画賞を日本では初めて受賞した滝田洋二郎監督作品である。
その映画の中で、主演の本木雅弘と広末涼子が暮らす、元スナック跡の家が上山市のロケ地である。
何度も出てくるので、映画の中でもかなり重要な位置を占めていたと思う。

私はアカデミー賞受賞のあと、国内で大きなニュースとなって騒がれている中、受賞記念として再上映された「おくりびと」を、2009年3月に山形市内の映画館で見た。
そして、その映画のロケ地がすぐ隣町の上山市でも行われたということを初めて知った。
じっとしていられず、もう映画を見た翌日には、そのロケ地を探しに上山市へと向かっていたのでした。


(写真は、「おくりびと」のロケ風景:主人公の実家である元スナックだった家:上山市八幡神社の真向かいにあるロケ地)

その前にインターネットで探りを入れると、もうその場所はブログなどに載っていたので、大体のあたりはついた。アカデミー賞受賞後に保存運動が起こり、あわてて少し手を入れたのか、ロケ地の家の前には、案内看板まで立ててあった。

ところで、話しは変わるのだが、その場所に来て、私は一瞬驚いたのである。
それはロケ地の家の真向かいにある八幡神社の存在だった。

私は、それを知ると、一瞬鳥肌がたった。
そして、「八幡様、やってくれましたね!」と八幡神社に向かって会釈をしたのだった。

これには、少し説明がいる。
実は昔、16歳の夏に、私はこの八幡神社様に命を助けられているのだ。

というと少々大げさに聞こえるかもしれないが、私にとっては、当時本当にそう思った出来事があったのである。
話は古くなるが、私が高校1年の夏休み、取得したばかりの原付免許証を片手に、たった一人で原付バイクにまたがり、山形から静岡の富士山を目指したのである。
その時、この八幡様の前を通過してから、何故か気持ちが落ち着かず、それにお参りしないで来たことが気になって気になってしかたなく、もう4キロも走ったところからわざわざ引き返して、その八幡様にこの無謀な旅行の無事を祈ったのだ。

案の定、箱根の芦ノ湖畔で、バスを追い越そうとした私は、対向車と正面衝突した。
事故検証に立ち会った警官は、先日も同じ場所で同じようなバイク事故があり、21歳の若者が命を散らしたと告げられた。
ところが私は、爪をはがしただけのかすり傷で済んだのである。
もちろんバイクの前部はメチャメチャに壊れて、私の冒険旅行はそこで終了した。

その時、私は、あの八幡神社様が命を助けくれたんだと、直感で思い、ああ、あのとき4キロ戻ってもお参りしてきてよかった。と、箱根神社前のカーブの事故現場から、遠く上山市にある八幡様に感謝の言葉をくりかえしていた。

またまた話は飛ぶが、映画「おくりびと」が上山で撮影され、しかもその撮影があの八幡神社様のまん前で行われたと知ったとき、私は直感的に、今回のアカデミー賞の受賞は、この八幡様のおかげ(イタズラ)で受賞できたのだと真剣に思ったものである。

【後日談】
その後、上山市に住む友人に、その八幡様の件を話すと、その友人はかなり興味を示しながら、
「そのロケ当時、ロケに使用した撮影機材は、その八幡神社の社務所の中に置かれていて、撮影が終わるまでそこから出し入れしていたんだよ」
といった。
「ええっ、そうなの」と、それを聞いた私は、さらにその受賞に関する気持ちが確信まで強まったのを覚えている。
私が思うに、その撮影当時、撮影スタッフの誰かが、こっそり映画の完成と成功をきっと祈願したのだろうと思っている。
いや、きっとそうだろう。そうに違いない。
それを、八幡様は真剣に受け止めて、日本初となるアカデミー賞外国語映画賞というとてつもない賞までとらせてしまったのだ。
(私は、あの八幡様なら、それくらいはやるだろうと、今でも本気で思っているのである。)

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