「かもめのジョナサン」(リチャード・バック)

「 われらすべての心に棲む かもめのジョナサンに 」

久々の再読です。

この「かもめのジョナサン」は、アメリカで1970年に出版されたが、当初は売れず、一部のヒッピー達が好んで読んでいるうちに、口コミで次第に広がり、2年後の1972年6月以降にヒット作となった。
その後アメリカ全土で1500万部以上を売り上げるベストセラーとなり、1973年には映画も制作されている。

日本では1974年6月に五木寛之訳で出版され、120万部以上のベストセラーとなる。

作者のリチャード・バック(1936年6月23日アメリカ・イリノイ州生まれ)は、飛行機パイロットである。

3部構成のこの本は、かもめの写真も豊富で、大人の寓話というジャンルで語られている。
要約すると、「餌をとるかもめと、飛行するかもめ」の話である。

大ヒットした「かもめのジョナサン」を約40年ぶりに再読してみて、確かに面白いのだが、私は、3部構成の内の1部構成だけでもよかったのではないだろうか?と、改めて思った。

評価も分かれているところでもあるのだが、後半部分はあきらかに宗教観をもとに書かれていると感じた。
その部分が、私には蛇足というか、必要ないように思うのだ。
その意味において、ちょっと残念な作品と、私は位置づけている。

ただ、ある人に言わせれば、そこの部分があるから崇高な文学であり、奥行きが深く人生のバイブル的書籍という。

たしかに、以下の部分などは、たしかに意味深で面白い見解ともいえる。

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「うかがいたいんですが、いまの生活のあとにはいったい何がおこるのでしょうか? そして、わたしたちはどこへ行くのでしょう? そもそも天国などというものは、本当はどこにもないんじゃありませんか?」

「その通りだ、ジョナサン、そんなところなどありはせぬ。天国とは、場所ではない。時間でもない。天国とはすなわち、完全なる境地のことなのだから」

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ただ、人とは何か? とか、真実とは何か? どう生きるべきか? などと、追い求める若い人にとっては、指標ともなるバイブル書でもあることは間違いないようだ。

ちと残念なのは、あの「オウム真理教」に入信した多くのインテリ学生には、この「かもめのジョナサン」との出会いが契機となった若者が多いという事実である。

それは、裏返せば、いまの若者はみな、多くの悩みや苦悩を抱えながら、ある意味真理に飢えて生きているということかもしれない。

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